BATON

『前略、裕之、元気にしているか〜?俺は母さんとラブラブ旅行中だぜ〜!!
 こういっちゃーなんだが俺たちはこの旅の中で熊に襲われても跳ね返せるくらいの力を持ってるほどに元気だぜ!!
 だがなーチョット心配なことがあってだな。なんといっても日本にはお前たちいるじゃん?
 だから時々元気かなーって思うときあるんだよねー。で、こっから本題。
 この封筒の中に一緒にはいってたディスクの中にありったけの友達とかお前たちの動画を入れてこっちに送って欲しい。
 ああ、届け先は父さんの会社でいいからな!ほら、提示連絡してるし!!
 一番リアルタイムで俺たちの場所わかるのってそこしかないんだよねーわかる?
 ってーことでよろしく!!』

 父より


『父さんの話があったと思うけど、お願いね。
 実際楽しいけど・・・あなたたちのことを忘れたのは数えるほどしかありません。
 そう、ご飯を食べているときや街角で芸人さんたちがパフォーマンスしてるときとか・・・それくらいです。
 あ、あと買い物しているときとかね。
 だから忘れたことは無いことに等しいと言ったら等しいと思います。
 ってことでよろしくね。オブリガート』

 母より




父さん・・・母さん・・・
なぜか涙が出てきたよ・・・・・・・





両親へのビデオレター




「ッてことで僕たちの自己紹介をこのビデオで写して焼いたあとに送る!!と言うことになりました」
僕は投げやりに言った。
「・・・はははは・・・すごい・・・」
アケミちゃんはもう笑うしかないって感じだ。
「もう突っ込みとか無しで始めたいので順番に来てください。出たくない方は出なくてもいいですが」
と言う前に僕の前にはアカリちゃんが立っていた。

「わたしがいちばーーーん!!」
うん・・・早速いこう!!
こういうものはノリとテンション、その場の空気で乗り切るに限る!!





小林 亜花里

「ええっと、小林亜花里。8歳!!たんじょーびは五月!!しょうがくせーです!!ヒロのお世話になってます!!
 よろしくね!!趣味はゲームー!!将来は元気でいたいです!!・・・えとえと・・・ヒロはよく遊んでくれます!!
 とってもうれしいです!!えっと、ええっと、ヒロはゲームが下手です!!えっと・・・ヒロは女の子みたいでかわいいです!!
 ええと・・・おしまい!!」







ちょっとショックを受けた・・・
なんか違う・・・でもいいか。
「ありがとう!!あかりちゃん!!さて次は」
「すいません、俺、先にやっちゃっていいですか?」
前に出てくるサトシ君。
てっきりでないものだと思ってたけど・・・
「あとにやるとなんかきつそうなんで・・・」
なんとなく・・・僕とサトシ君は同じ空気をまとっている感じがした。





小林 聡

「小林聡、14歳。誕生日は11月の末。部活動ではサッカーやってます。いつも笹原さんには勉強を教えてもらって助かっています。
 趣味は運動なんでサッカーで済ませてます。一応、受験生です。高校の受験先は決めています。だから頑張っていくつもりです。」






ここで終わり・・・なんかもう一言って感じもするんですが・・・
思えば・・・サトシ君最初のころ13歳っていってなかったっけか?
・・・・・・・・・・・・・・気にしないでいいか。
ま、いっか
「ありがとう。じゃ、次はアケミちゃん」
「はっはい!!わかりました!!」
大丈夫かな・・・





小林 アケミ

「小林アケミ、7じゃなかった17歳です!!部活動は吹奏楽部、パーカッションやってます。パーカッションと言うのは一般的に言う
 打楽器のことです。スネアドラムとかあったらドラムロールとかみせて証明することができるのですが・・・ありません、ごめんなさい
 ・・・それで、裕之さんには音楽についてのことを習ったり、普通の勉強を習ったりしています。とってもためになる話が聞けて感謝しています。
 あ、忘れてた!!誕生日は2月、だから受験と重なって祝えるのかどうか・・・って雑談すいません。ええっと、そもそも私が
 吹奏学部に入ったのは中学校のときに友人に誘われて・・・ってこんな話意味が無いですよね。ええー・・・すいません。以上です
 ・・・ああ!!趣味は読書です!!以上です!!」





アケミちゃん・・・緊張しまくりなのが目に見えてわかる・・・
まあわからないでもないな・・・誰か知らないおじさんあてのビデオだし・・・
・・・・・・・なんかさっきの僕の言い回し変な意味に誤解されそうだ。

「じゃあ私ですね〜」
翔子さんは立ち上がってゆっくりと僕の前に来る。
「よろしくお願いしますね〜」





小林 翔子

「小林翔子、歳は内緒と言うことで。笹原さん。元気ですか?私たちはいつも元気にやっていますよ。
 裕之さんが来てから結構、家の中がにぎやかになったような気がします。私も息子が一人増えたみたいでとてもうれしいです。
 また、こちらに帰られましたらお茶でも飲みにいらしてくださいね。」





ぺこりとお辞儀。
一番、落ち着いている・・・さすがだ・・・
でもいつもと違う感じがした。
「やっぱり緊張しちゃいますね〜」
・・・・わかった・・・〜が入ってなかったからだ・・・


尚人さんは仕事だからいないので容量が残ってたら入れてみようと思う。
他には友達とか撮るかなぁ・・・


「キミを忘れるなーーー!!!」
後ろから声をかけられる。
びっくりして心臓が飛び出るか・・・とは思わなかったけどびっくりした。
「キミたちを撮るのを忘れてるよー」
キミはチョットだけ不満そうな顔をする。
「僕たち兄妹は最後でいいの」
「なんでー?」
「おいしいものは最後に撮っておく」
「・・・・・・つまんないよ・・・・」
ガーン!
「ま、わかった!!じゃあ最後にキミを呼んでねー」

さっさと自分の部屋にかえっていってしまった。
僕はとりあえず学校にいってみることにした。
ま、ビデオが来た次の日のことだけど・・・




「お、ってことは俺もうつすわけだよなぁ!?じゃ、かっこよくとってくれ」
長瀬君はポーズをとって自分をかっこよく語るイケメン!!をイメージしたポーズをとっているらしい・・・
あ、本人談です。はい。
だけどもその海でのロープを引っ掛けるようなやつに足をかけているポーズはチョット・・・





長瀬 武

「長瀬武・・・21歳・・・四月に生まれ、同級生からもいいお兄さん的な役割を果たしている・・・ちなみに趣味は読書・・・
 俺はアメフト部に入っていて日夜練習に励んでいる・・・そう・・・なぜはいっているかというと筋骨隆々の男は頼りがいがあるだろう?
 だから入っているんだ・・・世の中の女性を守ってあげるために・・・俺は別に自慢をするわけではないが、結構人から人気がある。
 そう・・・誰もが頼ってくるナイスガイ・・・と大学内で言えば誰もが俺の名前を呼ぶ・・・この音楽大学の兄貴とは俺のこと・・・
 俺が奏でている音色はクラリネットだ・・・この音を聴いたものはすべての人が口を合わせてこういう・・・これこそ音楽だ・・・と・・・
 そんな才能あふれる俺はいつも人の役に立つことをしている・・・社会の奉仕活動、大学内の清掃・・・その他もろもろの雑業をすすんで
 取り組んでいる・・・そう・・・人の幸せが俺の幸せなのであり、俺のすべてだからだ・・・
 笹原君はいい人です・・・よく俺と一緒に奉仕活動をしています・・・今度も町のクリーン活動に参加する予定です・・・
 俺はこれからも頑張っていこうと思うのでよろしく・・・フッ」





長瀬君には悪いけど真ん中の部分は全てカットしている。
「と言うことでお前の家族によろしくな!!」
僕の肩をたたき長瀬君はニコニコ笑っている・・・
「ああーーーー!!彼女欲しいなー!!何で俺って顔も良くて人柄もオッケー!!なのに人が寄ってこないんだろう・・・
 あ、ササ、今日発売のマンガ本屋においてあった?帰りに俺買いにいこっかなーとか思っててさー」
長瀬君には悪いけどさっきの言葉は記録しておいた。


「それにしても長瀬君も町のクリーン活動に出るんだね」
「へっ?」
「僕一人だったらどうしようかなーとか思ってたんだよ。よろしくね!!」
「まじか・・・」




歩いていると嵯峨野さんがいた。
「嵯峨野さーんちょっとー」



「なるほど・・・じゃあこの前で自己紹介すればいいんですねー」
「最初から何でか自己紹介ビデオになってしまったのでそのまま貫き通しています」
「なるほどー」
・・・・・・突っ込まないのはさすがだ・・・
「でははじめますー」






嵯峨野 美夕

「私の名前は嵯峨野美夕、18歳、フルートをしております。この音楽大学に入ったのは自分の能力をもっと伸ばせると思ったからです。
 将来はフルートでオーケストラなどには入れればいいと思っております。趣味は音楽鑑賞、ジャンルを問わずいろいろなものを聞いています。
 笹原さんには良くお世話になっております。入学の際に助けていただいたのはほんとに感謝の言葉もございません。
 そんな私が笹原さんと友人と言う関係になれたことも、とても喜ばしい限りです。また、日本に戻られたときはお話でもしましょう」




・・・・イメージが違う・・・・・・・
「こんなものですかー」
嵯峨野さんは満足そうにしている・・・
アケミちゃんとは対照的だな・・・カメラの前に立つとまじめになって緊張なんか無くなってしまう・・・
「それじゃあ私は帰りますねー」
嵯峨野さんはいつもの調子で帰っていく・・・
人は見かけによらない・・・ねぇ・・・





大学内をさまよっても誰も見つからなかった・・・
仕方なく僕は家に帰ろうと道を歩いている途中。
「あ、笹原さん」
後ろから声をかけられる・・・聞き覚えのある声
「あ、久しぶり。ルナちゃん、お兄ちゃんも一緒?」
ルナちゃんの後ろから郁人君がやってくる。
「こんにちわ、笹原さん。天気がいいですね」
「ちょうどよかったー。えっとね」




「じゃあルナ、先にやっていいよ」
「うん。わかったよ」
なんかうらやましいよ・・・妹がそんなに素直な性格で・・・





早川 月

「早川ルナ、小学六年生の12歳です。笹原さんとはアカリちゃんと、お兄ちゃんの紹介で知り合ったものかな?
 笹原さんには一回おごってもらっちゃったことがあります。ありがとうございましたー。えっと、趣味は散歩・・・かな?
 とにかく町の景色を見て歩くのが好きです。好きなものは甘いもの。特におしるこが好きです。こんなものですね」




うん、自己紹介の模範となるすばらしい回答です。
「ありがとうね。ルナちゃん」
「えっと、ありがとうございます」
チョットカメラに移ったので緊張してるのかな?

「それじゃあ郁人君お願いね」
「はい・・・では」





早川 郁人

「早川郁人、19歳。笹原さんと同じ大学の一年生です。指揮者を目指して勉強しています。先ほど撮っていただいたルナの兄です。
 趣味はいろんな音楽鑑賞でしょうか。オーケストラの映像を良く見ています。将来は先ほど行ったとおり、指揮者になりたいと考えております。
 笹原さんとは今年会ったばかりで、まだ桜の咲くころ、助けでいただいたのがきっかけでご友人の関係となっています。
 本当に笹原さんには感謝をしています。これからも仲良くしていただければと思います。
 笹原さんって結構今の一年生から人気有るんですよー。かわいい先輩って・・・では!!」




郁人君・・・それは・・・最後の入らないんじゃないかなぁ・・・
「それでは僕たちはこれで・・・」
「また会いましょうね。笹原さん」
早川君たちが遠くなっていく・・・
僕もその場にいる意味が無いので家に帰ることにした。





家に帰ると・・・・
「さ!!準備完了!!早速撮影に入りましょう・・・お兄ちゃん!!」
キミ・・・いつもより気合が入っている気がする・・・
服も化粧も何もかも・・・
「なんで?」
「うつるといったら綺麗にうつらなきゃ!!さあ!!」

こういうとき考え方とかが一緒の兄妹っていいよね・・・相手の思考が少し読めるから。





笹原 希美

「キミでーす!!お母さんたちが行ってる間に18になっちゃったよー。帰ってきたらお土産よろしく!!
 最近キミはアケミちゃんの影響で本とか読むようになったんだよー。まぁ休憩時間なんで多めに見てください。受験対策はしてますから。
 最近お兄ちゃんの凄さがわかってきたんであります!!やっぱり音大生は違うね!!うん!!説明が教科書よりもわかりやすくって!
 お兄ちゃんには感謝感謝ですよー♪あと!!小林さんちではいい子に過ごしているんで!!その辺は気にしないでいいよ!!
 じゃ、まったねー♪」



「さっ!!次はお兄ちゃん!!」
カメラを奪い取られる・・・
僕も?
「えっ?」
「はいはい。まわすよー」
「えっあっまった!!」





笹原 裕之

「はい、裕之です。えっと・・・話題が無いね。顔を向かい合わせると自然と会話ができるんだけどねー。
 僕は21になりました。っていうか気づいてるはずだよね・・・旅行に行く前なんだから・・・チョットは気にしてください。
 そんなこんなで僕は元気にやってます。お墓参りにもいってきました。うん、毎年いってるからね。
 最近はって言うかまえからだけど、映画鑑賞にはまってます。・・・ああ、言うこと無いな・・・・
 うーん・・・あ、カレーのおいしいお店を見つけました。今度連れて行ってあげるのでおごってください。では」




「なんだか普通ー」
「いいんだよ・・・元気ってことを伝えられれば・・・」


今思い返してみると・・・みんなから結構感謝されてるっぽいな・・・
うれしい・・・
素直にそう思った。







ディスクにデータを写し、会社のほうへ郵送した。
僕の友達は、いい人ばかりということが伝わればいいな・・・
 
 
 
黒崎 恵
ええっと、まだ練習のときしか挨拶してなかったよね。私の名前は黒崎恵。ほとんどの人知ってるけどね♪
 私の好きなものはフルートで、自分で言っちゃ何だけど天才的な腕前!!いや、努力もしてるから秀才的な腕前!!♪
 これからどんどん聞いてこいよーしょうねーん♪趣味はこれといってないけども映画とか良く見に言ったりするよー
 友達とね♪今度誘ってあげるから感謝するように!!その代わり練習は頑張るんだ!!OK?」
 
笹原 裕之
「こちらこそよろしくお願いします。僕も結構映画見に行ったりしますよー。邦画を見るのが多いですね・・・
 フルートっていい音でますよね。澄んだ音って言うか・・・教えてもらえて感謝してますよーこれからもよろしくお願いしますね。
 あ、僕の名前は笹原裕之って言います。気軽に僕のことも呼んでくださいね、先輩。
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