BATON
ちょっとずつちょっとずつ歩いていって、最後にたどり着ければいい。
だから、急がないでゆっくり行こう。
まだまだ先は長いんだから。








〜災難〜


「おいっす!!ササいるかー?」
・・・最近僕と絡むの多くなってないかな・・・長瀬君。
「いるいるー!!」
自分の部屋から玄関に向かって叫んだ。



とりあえず、自分の部屋に上がらせて、話をすることになった。
「と、ここに来たのは他でもない。また相談にのっても」
と長瀬君のセリフの途中に、
「あの!!裕之さん!!明日からうちの学校で文化祭があるんですけど!!」

と、アケミちゃんが入ってきた。



その時の長瀬君の目は輝いていた。






「いやーー!!やってまいりました!!文化祭!!いいですねー!!青春ですねー!!華がありますねー!!!」
長瀬君は輝いていた。
何がって・・・顔が・・・
目が・・・
結局あの後は、
『相談事なんてどうでもいい!!今は文化祭が先なんだ!!!』
と、怒られた。なぜか。

って言うか僕たちも後一週間後くらいにあるんだけどなぁ。
名前こそ違うけど。
まぁとにかく今の長瀬君はすごいハイテンション。
無理いっても聞いてくれそうだ。

「長瀬君」
「ナンダイ心の友よ!?」
「この間貸したお金返して」
「いいぞ!!ほら!!今日の僕は太っ腹だからね!!」
と、高校の前で大きな声を張り上げていい人アピール。
きっちりお金を返してもらった。
・・・・・・借金の500円・・・(僕への借金の1/10)

「ここに来るのも半年振りって感じですかねー」
早川君は言う。
「たしかここの生徒会長やってたんだっけ?」
「そうなんですよー。もう大変でしたね。毎日の校長先生の将棋相手」
それ生徒会長の仕事違う・・・

郁人君には僕が連絡した。
大学の劇の練習も休みの日だしちょうどいいかと思って。
思ったとおり大丈夫だった。
土曜日日曜日に続けてあるイベントなので、ルナちゃんやアカリちゃんも連れてきた。
「何で大きいおじちゃんも一緒なの?ヒロ〜?」
なんでだろうね?
「何かあの人からは邪悪な気を感じます」
それは間違いじゃないと思うよ・・・ルナちゃん・・・
「あの人は邪悪と言うより・・・」
「おお!!見てみろよササ!!あそこの店の子すっげーかわい」
「無邪気な子供をそのままにじっくり成長しましたってかんじかな?」
「そんなコーヒーみたいな・・・」

高校の門をくぐると、案内の地図と体育館の公演プログラムを渡された。
まずは身内のところからまわるのが礼儀ってものかな?
一番最後にとっておくってのも・・・
うーん・・・希美とアケミちゃんに聞いておけばよかったな、入れ替わりの時間とか・・・
って・・・何してるのかも知らなかったり・・・

うーむ・・・
あとでメールして聞いとこう。
せっかくお店出してるんだから働いてる時間に言ったほうが面白いかも


どこへ行くか悩んでいると、

「来年入学の方ですか?」
と男の子に言われた。
「ああ、この子達は違います」
僕はアカリちゃんとルナちゃんを見ながら言った。
「じゃあ、野球部にはいって青春の汗を流しませんか!?」

・・・・What's?
「キミ、細身だけどきっと野球やると体の大きさも大きくなって身長もグーンと伸びるよ!!」
僕の目を見ながら青春熱血野球少年は訴えかける。
「もしかして・・・僕に言ってるんですか?」
「他に誰がいましょうか!!」




・・・・・・・・・・・・・
自己新記録達成!!
おめでとう!!僕!!
いままで三歳くらいしたには何度も見られたことはあるけれど!!
五歳以上したと見られたことは初めてです!!
僕は喜びのあまり思わず身分を明かしてあげた!!


「君がまだ、小学校のとき、僕は中学校入りたてだった」
「へ?」
「君がまだ・・・中学校入りたてのころ、僕はたぶん高校の高学年くらいだろう」
「え?・・・え?」
「これは僕の個性です・・・」
生徒証および各種取得技術免許。すべてみせてあげた。


「・・・・!!!!????」
男の子はえ!?なんで!?といった表情をしている。


悲しきかなこの体系・・・
「ササ!!早く行こうぜ!!」
でっかい人が言う。
「まっまぁ個性ですし・・・ね!!うん!!それでいいこともありますよ!!」



中学校のころを思い出す・・・
電車に乗るときは「小」のマークの切符を買うんだと聞かされてきた・・・
それも・・・中学校三年生まで・・・
誰も教えてくれることじゃないので普通にそれで買っていた・・・
三年のとき僕の友達が教えてくれた・・・
「お前身長低いからいいよなー。半額で」



・・・・・僕は小さいころ法を犯していた。
自分の知らないうちに・・・



「文化部の人たちの模擬店とか展示とか、クラスの出し物とかがあるみたいですね」
「うーん・・・僕はこの高校のOBじゃないからなー・・・あんまり見るものがないんだよねー」
「おなかすいたのでご飯にしませう!!」
アカリちゃんは言う。
まだ11時にもなってないんだけど・・・
「焼きそばとかたこ焼きとか一杯あるよー!!たこ焼きとか喫茶店とかたこ焼きとか!!」
・・・はははは・・・
「ちょっと・・・ってか早すぎなんだけどお昼にしますか?」
僕は郁人君に言う。
「そうですね」
郁人君は困ったように笑いながら承諾した。
「たこ焼きって普段食べてないものでもありますからいいですよねー」
ルナちゃんもたこ焼きが好きらしい。
「俺は青春街道まっしぐらだぜ!!」
長瀬君はどっかに行った。
身長高いからたぶん見つけやすいと思うし・・・いいか!!
うん!!




一分後、どこかでパーン!!とすごく大きな音がした。





たこ焼きの店には大○入りと書いてあった。
なるほど・・・変り種たこ焼きってやつか〜
確か僕の高校時代もこんなのがあったなぁ・・・
やはり、昼食は早すぎるということで二人で一つずつと言うことになった。
早速一つ食べることに・・・
「「いただきまーす!!」」
ぱく!!!
「おいしーーー!!たこダーーー!!」
アカリちゃんはあたりだったらしい。
僕も噛んでみる・・・
「・・・・・・・・べべべべべっ!!・・・・」
「べ?」

「紅しょうがーーー!!!」
よく紅しょうががきいてるなーとおもったら大量に入っていた・・・
くっ!!侮りがたし!!大○入り!!
「もう一個ー・・・おおーこれはチョコレートですな〜」
アカリちゃんは上機嫌だった。
僕ももう一つ。
「・・・・・・・・はははははっ!!!・・・」
「は?」


「ハッカーーーー!!!!」
ハッカが入っているとは!!
侮りがたし!!大○入り!!
ああ・・・口の中に辛さと鼻に抜ける涼しい空気。
・・・早川兄妹を見てみた。

郁人君は顔を真っ赤にしていた。
「こっこしょうだま・・・」
・・・・・・お気の毒に・・・・


何とか食べ切って、僕らは次の教室に行くことにした。






どこかで大声で熱唱している声が聞こえた。
なぜ歌っているのが「春よこい」なのか・・・






「あ、三年生は一番上の階ですよ。そこにたぶんいるんでしょうね二人とも」
「うーん・・・一つはパスタ。一つは喫茶店かー食べ物ばっかりになっちゃうのか」
「まぁいいんじゃないですか?安いですし」
「そうだねー。じゃあパスタからいってみますかね〜」
「ミートソースがいい!!」
いち早く答えるアケミちゃん。
断る理由もないし教室が昼でこむ前に行ったほうがいいのかもしれない。
「私はじゃあペペロンチーノが」
「僕もだな〜」
「あ、僕もです」
「アカリはミートソース!!」

ということでパスタの店に行くことになった。



「いらっしゃいませー何名さまですかー?」
男の店員の人が話しかけてくる(生徒)。
ファミレスッぽいエプロンと名札をつけている。
「ってか生徒会長じゃないですかー。げんきしてました?」
「あ、うんうん。元気にやってるよー。そっかー君ももう立派な受験生なんだよね」
「う・・・それは言わない約束で・・・」
「まぁ息抜きも必要だよーたぶん先生たちはこれが終わったら本番だとか言うんだろうけどね」
「うーー俺勉強苦手なんすけどー」
「誰もが通る道だから頑張れー」
「・・・はい・・・それじゃあ四名さまですね?こちらの席へどうぞー」

郁人君、さすが元生徒会長。
人望厚いなぁ。


「ご注文は・・・・」

テーブルは机を四個引っ付けてテーブルクロスを敷いた簡単なものだった。
真ん中には花瓶が置いてある。
と言うか花瓶がおいてあるのって喫茶店じゃなかったっけ?
その辺あんまりしたないけども教室の中はゆったりとしたイメージをかもし出す工夫がしてあった。
壁掛け時計も外されていて時間を忘れさせる空間を作っているのだろうか?


って考えるほど待ち時間が長かった。

「お待たせいたしましたー!!」
女の子の声がして店員の顔を見てみると。
「あ、アケミちゃんこんにちわー」
「いらっしゃいませ裕之さん、アカリちゃんも早川さんたちも」
アケミちゃんもほかのひとと同じくエプロンをつけている。
なんか家の中で見てるエプロンをつけたアケミちゃんよりも大人っぽく見える。

「なんかほんとに店員さんって感じだね。結構似合ってるよー」
「えっと・・・ありがとうございます」
アケミちゃんは笑って返してくれた。


「ここのお店っていい感じだね。なんか落ち着いた雰囲気で」
「そうなんですよークラスのみんなで落ち着いた空気にするにはどうするかって言うのを徹底して決めたものですからー」
「おなかすいたー」
アカリちゃんはフォークを持って訴えかける。
「はいはい。じゃあゆっくりしていってくださいね」
「じゃあいただきます」
味も程よく、手作りって感じがした。


「じゃあお会計は四人で・・・」
アケミちゃんは精算の作業をしている。
「0円になりますー」
「じゃあわりか・・・え・・・」
郁人君と僕とルナちゃんはアケミちゃんの顔を見た。
アカリちゃんは気にしていなかった。
「ここは私のおごりです〜遠慮なさらずにー」
アケミちゃんは笑顔で言う。
「いや・・・でも・・・」
郁人君は財布を手に持ってあたふたとしている。

「生徒会長だったんですからー今までのお礼って感じですよー」
アケミちゃんは続けて言う。
「そしてあの時は嵯峨野さんに払われてしまったから今回は私が払うんです!!裕之さん」
アケミちゃんは少しにやっと笑って僕を見た。


・・・ずいぶん前のこと覚えてるなぁ。
「で」
「でももだけども禁止です。日ごろの感謝の気持ちですよー」
アケミちゃんはより笑顔で言う。
「そっか・・・ありがとう」
「ありがとうございます」

「それではありがとうございましたー!!」




教室を出る。
両側から二人の女の子に腕をつかまれる。
連行される。

「あれ?・・・」
ずるずるずるずる。
「さ、笹原さん?どちらへ?」
「えっ?なんで!?」
わけもわからないまま郁人君たちと離されていく。





「えっと・・・僕はどこに連れて行かれるので?」
「もう交代の時間なんだから早く来る!!」
「キミのおかげで私たち交代前の自由時間減っちゃってるんだから!!」

わけがわからない。
「一般の人の服着て・・・しかも男装をするとは・・・」
「しかし私たちの目はごまかされない・・・キミは反省すること!!」

なんなんだ?

逃げようとすると、
「「・・・・・・逃げるな・・・・・」」

・・・・・怖かった・・・・

ある教室に連れ込まれて布によって中が見えなくなっている場所に入れられる。
「「早く着替えて出てくること!!」」
・・・・・・・なぜこんなことに・・・

目の前にはさっき入った時にちょっと見たこの教室の・・・喫茶店の制服っぽかった。
なぜに・・・
布から顔を出して、
「えっと・・・僕は」
「「早く着替えろ・・・」」


とても怖かった・・・


しょうがない・・・もう流れに身を任せますか・・・






「ん?・・・これってハーフパンツ?男の人って確か普通の黒ズボンだったような・・・まぁいいか・・・」
鏡を見たいところだけども、中に鏡はないためしょうがないからそのまま出る。

「これでい」
「前髪は髪留めで留めて清潔感を出す!!」
髪の毛を横に分けられる。
「はい、これで店内を掃除して」
有無を言わせず仕事を与えられる。
店内・・・もう喫茶店のようだ・・・
「あの・・・僕は」
「GO!!」
背中をたたかれる・・・
うう・・・僕が何をしたっていうんだろう・・・

仕方なく懐かしい掃除用具と共に僕は教室を掃除することに・・・




五分ほど掃除をしていたら近くに座っている人が声をかけてきた。
「すいませ〜ん。店員さ〜ん」
「掃除はオレがしとくから行ってきて、オレ接客苦手だからさー」
「え、はい・・・」
掃除用具を渡し、渡された伝票片手に呼ばれたお客さんの元へと急ぐ。
「あ、キミちゃんこんにちわ〜」



・・・・・!!!・・・・そこにいるのは嵯峨野さん!!?
成り行きとはいえここで働いているところを見られたら困る!!
って・・・キミって・・・・

ああーーー!!!!


『《希美》のおかげで私たち交代前の自由時間減っちゃってるんだから!!』

『しかし私たちの目はごまかされない・・・《希美》は反省すること!!』



キミってことかーーー!!!
ああ、なんか難解なパズルを解いたような達成感。
と、共に現れる嫌な冷や汗。
「キミちゃん?」


・・・どうやって切り抜けるか・・・嵯峨野さんを・・・
幸い嵯峨野さんは僕のことをキミと勘違いしているらしい・・・
それならキミが来るまで隠し通すのが一番だ。

よし・・・やってやる・・・
ミッションスタートだ・・・
できるだけ自然に・・・

「イイイイイいらっしゃいませええぇーーー!!サガノサン!!お会いできてうれしいです!!」
できたか?・・・声色の少し変化させてみたけど・・・
「そんなに緊張しなくてもー。自然でいいですよー?」
緊張してると思われてるー!?
「制服かわいいですねー」
かわいいとか言われてるー!?
「ソンナコトナイデスヨ!!サガノサン!!いつもお兄ちゃんがオセワさま!!」
何を言ってるんだ僕は!!
ってか今思った!!この制服って女の子用!?

「いえいえ〜。私のほうがお世話になりっぱなしですよー」
「えっと・・・エト・・・フッフフフルート!!」
「フルート?」
「じゃなかった・・・ごっご注文わ!?」

これは時間の問題だ。
今の自分は怪しすぎる。

「じゃあー。紅茶のセットの手作りクッキーのほうで」
「承りましたー!!しばらくお待ちください!!」



といった直後教室の前側の出入り口から、
「ごっめーーーん!!遅れちゃったよーーーー!!」
と・・・






しばらくお待ちください・・・・







「僕はもうだめだーーーー!!!!」
嵯峨野さんと同じテーブルに座って僕は目をテーブルに伏せて泣きそうになる。
連れてきた人に謝られて、ぜひに!!と、喫茶店のクッキー、ケーキやらをただにしてもらったのはいいんだけど。
無意識とはいえ女装した挙句にそれを知り合いに見られてしまうなんて!!

「だけど、まだよかったか・・・あの下にはくのがまだハーフパンツで・・・」
「お兄ちゃん〜」
キミが制服を着てやってくる。
元凶め・・・
「キミが早くここに来ててくれれば僕はこんなことには」
「これハーフパンツじゃなくってキュロットって言うんだよ」
「えっ?・・・」
「き ゅ ろ っ と す か ー と ♪」


「おわった・・・」
「笹原さん可愛かったですよ〜」
・・・その言葉は落ち込むスピードを加速させる。

「うんうん。この画像を友達に送ってあげよう」
・・・え・・・
「画像・・・?」
「今の世の中面白画像、感動的な画像があったら撮らないって言う人はいませんよー」
キミはニヤニヤしている。
・・・・ふぅ・・・(気絶)


「お、お兄ちゃん!?おにいちゃーーん?」


「あ、ここにいましたか・・・って、笹原さん!?」





郁人君たちはその僕が気絶した後に来たらしい。
僕はどうなったのか知らない。
高校の文化祭一日目はこんな感じで終わってしまった。
キミが撮ったと言う画像は結構出回ってしまったらしい。
とりあえず僕の友達といえる人全員にはまわった。
幸いにも長瀬君を除いて・・・・・・


僕の心は大きく傷ついたのでした。















その日の夕食後。


「お兄ちゃん、キミの服ちょっと着てみたりしない〜?」
「しない!!」


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