BATON
〜学校〜



次の日、僕はなぜか布団にはいらずに寝ていた。

ああ、昨日遅くまで説明してたからな。

でもあまり寒くはなかった。

なんでだろ?

あれっ?僕の上には『オジサン』臭い毛布が・・・

身の毛がよだつ、もしかして



「おはようございます」
僕はみんなに分かるように大きな声でいった。
居間には一人アケミちゃんだけいた。
丁度朝ご飯を食べながらテレビをみているところだった。
「ん〜〜〜・・・・うん・・・」
・・・・めちゃめちゃ低血圧だ・・・
聞こえてないみたい・・・

しばらくして

「!?///・・・おっおはようございマス!!笹原さん!!」
「うわっ!!」
いきなりで心臓が出るくらいびっくりした。
でたらこまるけど。

「うん、おはようございます、アケミちゃん」
「ああああ!あけみちゃんなんて滅相もない!!小林と読んでたもう!!」
確実に混乱している叩くと正気に戻るのか?
・・・冗談だけど・・・
「いや全員小林さんだし、ごめんだけどアケミちゃんでお願いできるかな?」
みるとアケミちゃんは耳まで真っ赤にして、
「ははっ!!ありがたき幸せ!」
何時代?というツッコミは必要ですか?いいえ必要ではありません。



「あらあら、仲がよろしいですね。私たちみたいに♪」
いつの間にか翔子さんは後ろに、
うーん、なかがいいんだか微妙なんですけど
この夫婦は、



「おはよ・・・」
アカリちゃんが二階から下りて来た。
昨日と雰囲気が随分違うな。
「おはよ、アカリちゃん」
僕はさっきと同じように挨拶した。
「・・・・ああ、新参者か、せめてさん付けで呼ぶのがよいと思うぞ。ヒロよ」・・・・


何歳?
「どうかしたか?」
「・・・いっいいえ」
「何をしているアサゲを食わぬのか?特別に私と共に食す事を許可いたそう」
「・・・・はい」
断る理由もなく、ちょうどおなかが空いていたので一緒に食べる事にした。

朝ご飯はパンとサラダ、インスタントスープだった。
アカリちゃ・・・さんは僕の顔を覗き込むように見た。
「どうだ?うまいか?」
えっ・・・どれも誰が作っても一緒の味だと思うけど。
「うん、おいしいです」
僕は嘘もつく事なく率直にいった。
アカリさんはニコッとして食事を続けた。
何歳ですか?
「アカリちゃん?これたべていいの?」翔子さんは言う。
「はい、母よ、そんなものでよければ」そんなもの・・・



ってこれはいつつくったものなんだ?

今アカリさんが起きたとこなのに・・・

謎だ


「おはようございます」
サトシ君が二階から下りて来た。
髪の毛がぼさぼさだ。
「おはよーサトシ君」
「ああ・・・おはようございます。・・・笹原さん」
ちゃんと礼儀正しく返してくれた。
・・・なんというか・・・まだうつろって感じだ。
席に着くとパンにかじりついた。
超スローペースで。

結局、食べ終わったのは30分後。
遅いよ。学校遅刻しちゃうよ。

みんなまだ学校に出発もしていない。
8時半だよもう、
「じゃっ行ってきます」
「行ってきます!!」
「母上行ってくる」
といって出て行く3人はでていく。


裏口から。


・・・知らなかった。
昨日教えてもらってなかったからなー
この裏口はどこらへんにつながってるのかな?
三人の見送りがてら裏口に行ってみた。


そこは小学校、中学校、高校が一列に並んでいる道であった。

俗に言う、付属学校ってやつだ。

でもこんなに近いのは楽だなー



三人はそれぞれの学校へ行く。


ん?

僕は気付いた。
学校の裏辺りに駅があることを。



しばらく昨日の数時間を僕は悔いた。



大学ではいつもと変わらない風景が広がっていた。

変わっているとしたら新入生か。

ああ、かわいそうに。
またサークルに引きずり込まれる人が、まあ、食事がタダになるのはいいかもだけど。

僕はバイトとかあるから入らなかったんだけどね。


まあバイトも今なくなって個人の組合でない家庭教師してるんだけど。



「よっ!ササ!おれ単位ギリだったよー」
後ろから声が・・・たぶん空耳だ。
「聞こえてないのー?ささく〜ん」
うん空耳だ。確信した。

ぼくはそのまま授業のある教室へと入っていった。



「ささく〜んまってー」
僕は中央の前側の席に腰掛けた。
一番見えやすく。一番目立ちにくい席であるからだ。
「ひろく〜ん」
僕は時間になるまでねむることに・・・
「ヒロチャン♪」
うっ・・・

「なに・・・長瀬(ながせ)君」
「おっ!・・・なるほど・・・ヒロチャンで答えてくれるか。覚えておこう」
長瀬君はニヤニヤしながら言う。
・・・ピンチ?

「ごめん、空耳だと思いたかった」
本心を僕は言った。「ふーん、じゃあ一生ヒロチャンと呼んでやる」
・・・失敗した。



「そうだっ!今年の新入生どうだ?かわいい子いたか?」
「はいっ?」
「かわいい子いたかって言ってんの!」
「・・・」
うー、背中からの女子の痛い目線を感じる。
「俺は俺のサークルにかわいい子がほしいんだ。そしてあわよくば俺の彼女に・・・!」
そーですか
そーなんですか
へぇ
がんばってね。
応援しとくよ。
だからヒロチャンはやめてくれ。
「・・・いたんじゃないかな・・・この学科に・・・」
そう僕がいうと長瀬君は目を輝かせた。
「マジで!早速行かなきゃ!!!!」
長瀬君は授業も受けずに荷物をまとめ行ってしまった。


ごめん・・・ほんとは全く見てませんでした・・・
でも面と向かって謝る気はありません。


授業も終わり帰っているとき、誰か女の子が掲示板の前でうろうろしているのに気がつい
た。
毎日、掲示板は見るように言われていたので僕は一年生からずっと欠かさず見ている。
どうしたのかな?
まあ関わらないのが得策だね。
「すいません」
いきなり声かけられた。
「なんでしょう?」大学ではみんな私服で学年が分からない。
「あのっ新入生なんですが、事務所ってどこですか?」
うつむき加減でペコペコしながら言う。
うーん、場所がめんどくさいからなー分かりにくいんだろうなー
「わかりにくいけど・・・いい?」
「はい!ありがとうございます!」


僕は懇切丁寧に教えた。でもやっぱり分かりにくいらしい。
「ううっ今日までなのに」
今日提出の何かを持っている。
しょうがない。

「うーん・・・じゃあついてきて」
「えっ!?」
僕はそれだけ言うと事務所に向かって歩き出した。
「あっはいっ」
女の子は後をちゃんとついてきているようだった。



「はい、到着っと」結局途中で別れる事なく事務所の前まで来た。
「あっありがとうございました!」
ペコリと一礼。
そして顔を上げる。初めて顔が合った。
うっ・・・

実は僕、女の子があんまり得意じゃない。ちょっと苦手。

なんで、
「うん、それじゃ!」
ぼくは脱兎のごとくその場を去る。
「えっ!あのっ!」
何か言ってたみたいだけど気にしない。
素早く、風のように・・・



「ヒロチャ〜ン」
「うわっ」
いきなり背後から魔の手、もとい長瀬君の手がかかる。
「ひどいじゃないか〜!あんな子が同じ学科だって教えてくれてもー!」
「?」
えっと・・・
「なに?」
「だーかーらー、さっきの子だよー紹介してくれーサークルにぜひっ」
長瀬君は目を物凄い輝かせている。
「いやっ名前も聞いてないし」
正直に答えた。
しかも顔をまともにも見ていない。
「かー!ダメダーお前はダメだー!」
えっなんで?
「おまえっ!そのままじゃいつまでたっても一人もんだぞ!」
何を言いますか君は、
まあ何を言いたいのか分かるけど〜
「何を言いたいのかはわかるけどいいよ、ぼくは会社にはいって、収入も安定してから
〜」
長瀬君は溜め息をつきながら、
「まじで言ってんのか?あ〜あ〜お前絶対青春無駄にしてるって〜今しかないのよ〜そん
な時期。もっと楽しまなきゃー」
うーんそうなのかなー
「でも長瀬君も」
「俺は前向きだからいいの!お前も前向きに生きろよー今やっとかなきゃ後悔することも
あるってことを忘れるなー」
そういうと長瀬君は行ってしまった。


前向きに・・・か・・・あのときから僕は・・・・

校門の前には尚人さんがたっていた。僕は元来た道を戻り壁を乗り越え家路に着くのだっ
た。



今日も昨日と同じように過ごし生きてゆき何も変わらないままでいる。
それが幸せと言う人もいるだけど・・・


ぼくは・・・同じように生きることを一番欲していた人間かもしれない。
あのとき・・・

 
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