BATON
僕は何か知らない人の・・・
って言うか親戚らしい人の結婚式に呼ばれた母の付き添いできている。
退屈な時だった・・・

全然知らない人の姿、演説みたいなものを聞いても面白くない・・・

あくびとため息を何回ついただろうか・・・
それを見てある人が母に声をかけてきた。
「子供達には退屈ですよね〜。どうですか?私たちの家で娘達と一緒にあそばせておくのは〜?」

間延びした喋り方をしたおっとりとした人だった。
お腹は大きくて、何かが入っているような感じだった。

「そうですねー・・・じゃぁお願いしてよろしいですか?」
「はい〜、娘達も喜びます〜」

そうして僕と妹の希美はある家に少し上がることとなった・・・





10years ago   〜子供達



「よろしくー」
僕は二人の子達と挨拶をした。
僕と七歳くらいの女の子、四歳くらいの男の子と一緒に車に乗ってコバヤシさんちに行く事になった。

「よろしくおねがいしますー」
女の子は答えた。
年の割にはしっかりした子だ・・・
と同じ小学生の僕が思ってしまった・・・

「サッカーしよー」
男の子は答えた。
男の子はいかにもヤンチャって感じで足や手にばんそーこーが1つずつはられていた。

「うーん・・・サッカーはちょっとね・・・このカッコで外には出られないし・・・」
「そっかー・・・」
意外と聞き分けはいい子だった。

うちの親は『よそ行き!!』とか『正装!!』とか言って高そうな服のときは汚すのを嫌う。
汚して帰ったときはよく怒られていた。
・・・まぁ大半は希美だったけど・・・

だから子供ながらに外で遊ぶ事はいやだった・・・


「うーんとにかく家に行ってみてから決めようよ」
「そーですね」
うーん・・・女の子のほうは無理矢理丁寧語を使っているような気がする・・・
「キミもよろしく!!」
キミは大きな声で挨拶をした。
キミの性格はこの女の子とは性格が正反対な感じがした・・・




小林と書いてある表札のある家の戸をくぐって、リビングに入った。
ちょっと僕は気取って、
「はぁー・・・この木はリビングを落ち着かせる。とてもいいものですねー・・・」
それに続き希美も、
「そうですねー。なんといってもこのにおい・・・懐かしい感じがします・・・」
と、御宅拝見の番組の拝見人のマネを僕と希美はしてみた。

「そうですか〜?ありがとうございます〜」
女の人は軽く会釈して僕と希美の頭をなでてくる。
・・・なんか恥かしかった。

「じゃあ私は結婚式の会場に戻ってるからこの子達をよろしくおねがいします〜」
女の人は玄関から出て行った。
車の遠ざかっていく音が聞こえた。


いきなりやることに困った・・・

何をすれば良いだろう・・・

ぼーーーーーっと僕を見ている男の子と女の子・・・・・・とキミ。

困る・・・
せめて僕がもうちょっとお兄さんならば面倒とかよく見れたんだろうけども・・・

リビングには大きなテレビが置いてあることに気がついた。
僕はテレビのリモコンに手を伸ばす。
赤いボタンを押してテレビをつけてみる・・・
そこから順順にチャンネルを動かし教育テレビのチャンネルで画面を止める。

ちょうど、作って遊ぼう!!と言った感じの番組が画面に映し出されていた。
僕の目はひかり、コレだ!!っと思って、

「よし!!コレ作ってみようか!!」
僕は暇つぶしの道具が見つかってとても助かった。

幸い、すぐに用意できる道具が多かったので作ることができそうだった。


「めんどくせーもっと面白いことしよーぜ」
男の子は真っ向からいやだっていってきた。
うー・・・どうしよう・・・

「じゃあ・・・ええと・・・かくれんぼとか?」

女の子は言う。
・・・結構いい案かもしれない。
この家は結構広くて、かくれんぼにはちょうどいい。
「いいね、でもそれじゃチョットつまらないからかくれおににしよーぜ」
うん、これもいい案だ。
「うん、じゃ、さっそく・・・じゃーんけーん!!」










・・・いや、予感はしてたんだけどね・・・

「もういい〜か〜い?」


「「もういーよー」」

よし・・・じゃあ早速捜索に行くか・・・
・・・灯台下暗し・・・さっきまでとっぷしていた机の下を・・・

「・・・・・・みつけた・・・」
あっさりと見つけてしまった・・・
最初に見つけたのは女の子。
危うく作戦に引っかかるところだった。
結構頭いいな・・・

「にげろーーー!!」
女の子は逃げていった。
「やばい!!」
僕は何百秒も数えさせられていたのでルールを忘れていた。
これは隠れ鬼。
隠れている人を見つけたあと、タッチしなければ見つけたことにはならない・・・
「これって!!・・・鬼ごっことどう違うんだ!!」

僕は女の子を追いかける。



追いかけながらも周りの様子も確認する。
ベランダには鍵がかかってる。
他の部屋は鍵らしきものがないから、このあとは部屋中心に探していこう・・・




女の子はある部屋に入っていった。
その部屋の戸を開けると、女の子はぱっと視界からなくなってしまった。
その部屋の中には大きな本棚と、タンスが置かれている以外、あまり目立ったものは無かった。

こういう場合は押入れの中か・・・隠れられる細いスペースか・・・開いた戸のすぐ横にいるのがパターン・・・
逃がすわけには行かないのでまずは戸の周りから調べる・・・ 異常なし。 押入れは一番最後だ・・・隙が出やすい・・・ 次に僕は狭いスペースに目を配る・・・ 「みつけた!!」 女の子は本棚と壁との間にできた隙間に隠れていた。 「よし!!たーっち!!」 僕は一人目を見つけた。 うん、ハイスピードだ。 開始早々、一分以内に一人目発見は自慢できるね。 「すっすいませーん・・・」 女の子は泣きそうな顔で言ってくる。 「ん?どうしたの?」 女の子に尋ねてみた。 女の子は、 「出られません〜」 ・・・・・・・・・・ベタな展開だ・・・ 「じゃあ引っ張るよー・・・せーの!!」 すぽーーーん!!! 抜けた・・・ ガラガラガラ・・・・・・・!!!! だけど女のこのほかにも何かいろいろなものが出てきた・・・ かっ片付けなきゃ・・・ 僕は隙間から出てきたものを片付ける・・・ 何だこの毛布・・・おじさんくさい・・・ このこたちのお父さんの毛布かな。 片付けも終わり捜索を再開する。 こういうほかのひとを見つけたときは押入れの中を忘れがち。 早速あけてみると・・・ 「あ・・・」 キミを見つけた。 がしっ!!っと手をつかんで捕まえる。 隠れ鬼の怖さは逃げる対象だ。 逃げられなければただのかくれんぼ。 脅威はない。 「ああー見つかっちゃったかー早いねーもう二人目?」 キミは残念そうに言う。 「うん、あとは男の子なんだけど・・・」 「うーん・・・これ終わったら名前聞こうよ。なんかわかりにくいし」 「そうだねー」 何がわかりにくいかわからなかったけどもまあいいか。 よし!!じゃあ早速見つけに行くぞー キミを見つけてから10分くらい捜索しただろうか・・・ いっこうに見つからない男の子・・・ 「みつからないねー」 「そうだね」 この二人なんか友達っぽくなってるし・・・ 時間の経過を感じさせる。 あとは・・・ 「ベランダか・・・」 ベランダのドラのノブを回す。 さっき、内側から鍵が閉まってたから警戒しなかった場所。 ここまでやる人はいるだろうか・・・ ベランダにいることになると、まどからベランダのほうへ出て行ったと言うことになる。 「あっ!!」 男の子がベランダの隅に身を隠していた。 思わず僕は声を上げてしまったので男の子の体はびくっと反応した。 「ちっ!!みつかったか!!」 何かの影響かそんなことを男の子はいって僕との戦闘態勢をとった。 相手の手にはハンガーが握られている。 僕は体を探って武器を探した。 ポケットに飴玉が一つ・・・ 僕はそれを取り出し手の中に握りこむ。 相手との距離は五歩半。 相手にとっては六歩くらいだろうか・・・ 僕のほうが先に迫ることができるが、手に持った武器が十分にその距離を補っていた。 僕はあることに気がついた・・・ ちょうど男の子の視線の高さくらいまでシーツが・・・ 僕は飴玉をシーツの上に山なりに投げて行動に移した。 山形に投げられた飴は見事に男の子の頭に飴玉が命中する。 男の子はなんだ?と思ったようで、その飴玉と空を交互に見ている。 その隙にシーツの横から回りこみ・・・ 「シンミョーニオナワニツケィ!!!」 僕は男のこの肩に手をつけた。 「えっあ!!!!くっそおおお!!」 僕の勝利!! ってか隠れ鬼に勝ち負けなんて無いんだけどね。 「あーーーくっそーーーー」 男の子は飴の袋を破いて口の中に入れる。 あ・・・その飴は・・・ 「はははははっはハッカーーーーー!!!!」 うん・・・子供に不人気のハッカの飴だったから食べなかったんだ・・・ やることが終わったら暇になった・・・ 「うーん・・・何かすることは・・・」 「じゃあこの紙になにか一人ずつ何かかいていって一つの絵を完成させるって遊びしません?」 「いいねーやろうよ!!お兄ちゃん」 「そうだね、やることないし」 「あーーーやることねェし・・・うん、わかった」 「じゃあ三周したらみんなで見よう!!」 じゃんけんによって順番が決まった。 男の子、キミ、女の子、僕・・・・・・ じゃんけん弱いんだ・・・僕・・・ 「ええっとじゃあ・・・ボールだな」

「うーん・・・これは・・・人の顔かな?じゃあめをぐりぐりーーーっと!!」

「え・・・なにこれ・・・牛の鼻?かな?・・・じゃあ口をかいて・・・」

「・・・・・なんですかこれは・・・ええっと・・・宇宙生物?・・・じゃあ手足も変な感じに・・・」

「げっ!!なんだこれ!!これはぼーるだって!!もう一回・・・二つかいておくか・・・小さくなっちゃうけど」

「・・・え・・・おもしろーい!!じゃあキミもーーー!!」

「あ、やっぱり鼻だったんだーじゃあ輪郭もかいてっと・・・・だけどこのへんな細長いものは?」

「宇宙人バージョンアップ!?なんだこれ!?まあいいか、宇宙人ってことはわかったんだから・・・
 宇宙人といったらやっぱり光線銃とか?よくわからないけどその辺の書いておこう」


「ええーー!!なんだよこれ!!誰がここまで変にしてるんだ!?まあいいか、一筆入魂・・・」

「あーこの子サッカーしたかったんだーじゃあボールを書いてあげなきゃね!!」

「え・・・えーーー・・・ああー・・・うん・・・このこは弟・・・かな?じゃあチョット多いけど・・・」

「またなんか増えてるーーー!!こいつも宇宙人か!?いや・・・ぺっと?最後だし・・・よし!!チョット気合入れて!!」

 

「さあできたよーじゃあみんなで見よう!!」


「「せーーーの!!」」
みんなが紙に目を集中する。そして僕の顔を見る。


「えっ?なに?」






「「「おまえかーーーー!!!」」」

 

 

 


そんなこんなで時間は過ぎ去り・・・
「夜ご飯の時間になったから会場にいってみんなで食べましょうね」

朝に送ってもらった人が迎えに来た。
「はい、おねがいしますー」
そして僕たちは車の中に入っていった・・・
僕らは遊びつかれてその中で眠ってしまった・・・



僕が目を覚ますと、あるソファーの上にキミと横に並んで眠っていた。
「あれ・・・」
「ああ、おきた?眠ってたからそのままここにつれてきたの。どう?楽しかった?」
周りを見るときれいな飾り照明。大きな花瓶・・・
ああ、会場に戻ってきたんだな・・・
「楽しかった?」
母さんは微笑みながら話しかけてくる。
「うん!!」
僕は力強くうなずく。
結局、名前を聞くのを忘れてたけども・・・
僕はこの思い出を忘れないだろう。
それに、生きていれば、もう一度きっと会えるはずだし・・・

 

 

 

 

 

 

「裕之さん、ここなんですけど・・・」
「ああーここはね・・・」
僕は今、この小林家で暮らしている。
みんないい人ばかりで僕はとてもうれしい。

 

「笹原さんもコーヒーのみますか?」
「うん!ありがとう、よろしくね!!」
みんな優しくて、みんないつも家ではいい顔をしていて・・・


 

 

 


「お兄ちゃん、こんどどっかにみんなで遊びに行こうよー」
「キミさん・・・一応あなた受験生ですよ?」
僕の生活は充実してる。

 

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